インタビュー

2025年3月26日 NEW

日本語は独学で習得、実習先の先輩に憧れ周囲のみんなを幸せにできる介護福祉士を目指す

私の介護の仕事

ス ティリ ウィンさん =学校法人西日本短期大学=


ス ティリ ウィンさん

【プロフィール】
ミャンマー出身。ミャンマーで大学在学中に新型コロナウイルスが流行し休校になったことをきっかけに、日本語の勉強を本格的に開始。大学を中退し、令和5年に来日。西日本短期大学福祉学科に入学。令和7年3月卒業予定。

【スケジュール】

8時30分 登校
9時 授業開始
14時30分 授業終了、自主学習など
18時 病院でのアルバイト開始
20時 アルバイト終了、退勤
21時30分 自主学習
22時30分 就寝

新型コロナウイルス感染症の流行が人生を大きく変えるきっかけに

 ミャンマーで高校を卒業し、経済系の大学に進みましたが、大学2年生のときに新型コロナウイルス感染症が流行し、大学が休校になりました。ステイホームで外出できなくなったことをきっかけに、それまで趣味で学んでいた日本語を、独学で本格的に勉強し始めました。

 そのころ私は、母と弟と祖母2人の5人で住んでいたのですが、私以外の家族全員が新型コロナウイルスに感染しました。私が中心となって看病していましたが、祖母2人は亡くなってしまいました。このことをきっかけに、大学で経済を学ぶよりも、看護や介護の仕事の方が自分にとってやりがいのある仕事だと考えるようになりました。

 ミャンマーでは高齢者は家族でお世話をするので介護という仕事がありませんが、日本に介護の仕事があることを知り、これまで学んできた日本語を生かして働きたいという気持ちがあり、来日を決めました。

 ミャンマーから日本に来る人は、まず日本語学校に入ることが多いですが、私は時間がもったいないと考え、ミャンマーにいる間に、日本語能力試験(JLPT)のN2を取得し、来日後すぐに介護の勉強を始められるように準備をしました。新型コロナウイルス感染症の流行前は日本語のスクールに通っており、そこで日本語能力試験(JLPT)のN4を取得しました。新型コロナウイルス感染症でスクールが休校になってからは、独学でテキストやYouTubeを活用して勉強を行うことで、ミャンマーにいる間にN2を取得することができました。

日曜日は勉強とリフレッシュする日を決めて過ごし、すきま時間にはアプリで効率的に学習

 来日に向けて、まずは留学エージェントに相談しました。その後、日本語能力試験の合格レベルや面接試験によって、就職先の候補を出していただきました。私は複数あった候補の中から福岡市西区の病院に就職先を決め、その法人の奨学金を受けて西日本短期大学の福祉学部で介護を学んでいます。福岡市西区や隣接する糸島市には、海や山が多く、自然の綺麗な景色の中で過ごせることが、この場所を選んだ決め手でした。

 令和5年に入学し、1年生の頃に、学校では介護の勉強を行い、家に帰ってからは、日本語能力試験(JLPT)の勉強を進めました。その結果、N1の試験に合格することができました。2年生になってからは介護福祉士国家試験に向けて勉強しています。学校では座学に加えて、学生同士や先生と実技の練習もしています。

 就職する予定の病院は、医療療養病床と介護医療院という施設を併設している病院で、高齢者や難病で長期間入院する方を受け入れている病院です。1年生の頃からこの病院でアルバイトをしており、実際の現場で経験を積むことができているので、とても勉強になります。

 アルバイトは、平日の放課後18時から20時と、休日は朝9時から17時までしています。1年生のときは土日の両方をアルバイトに充てていましたが、2年生になってからは、介護福祉士国家試験の勉強のために、土曜日のみにしています。日曜日は自由な日なので、週によって勉強する日とリフレッシュする日を決めて、気持ちを切り替えて過ごしています。リフレッシュする日には、友人と天神にでかけて食事を楽しみ、近くの海で過ごすことが多いです。先日は友人と障がい者スポーツのボランティアに参加しました。普段学習している高齢者介護とは少し違う、介助者と障がい者の信頼関係を見ることができ、勉強になりました。

 介護福祉士国家試験に向けては、机で集中的に勉強できる時間が日曜日や平日の夜に限られているので、スマートフォンのアプリを活用することで、すきま時間に過去問を解くことができ、間違ったところを集中的に勉強できるので効率的です。

利用者もまわりのスタッフも幸せにできる介護職になりたい

 就職先の病院は、職員の間でとてもよくコミュニケーションがとられていて、アルバイトの私もとても話しやすい雰囲気です。2年間で4回ある実習も、就職先の病院に行きました。実習の際に指導者としてついていただいた先輩は、利用者との関わり方が丁寧なことに加えて、周りのスタッフの負担も減らして、みんなが楽しく笑顔で働けるように工夫している方です。私もこんな介護職員になりたいと目標にしています。

 実習中に指導者の先輩から「介護職員が緊張していると、利用者にも緊張がうつってしまうから、落ち着いて、一つひとつ確認してやれば大丈夫だよ」と教えていただいたことが印象に残っています。ミスがあった時には「大丈夫だよ、明日は気を付けてね」と声をかけてくれ、忘れている手順があるときには「何か忘れていることがない?」と声を掛けていただき、一度自分で考える時間をつくってくださいました。

 最初の実習では日本語で利用者とコミュニケーションをとることが難しく、事前に質問を書きだして覚えたりしていました。実習中は特にコミュニケーションが上達するように意識して過ごし、回を重ねるごとに、自然に声をかけ、利用者からの返答にさらに深堀する質問をして楽しく会話できるようになりました。

 利用者はだんだん体が不自由になり大変な思いをされているので、私達との関わりによって楽しい気分を引き出し、幸せに過ごす時間を増やせるようになりたいです。そして、介護する側の幸せや笑顔は利用者にもうつっていくと思うので、利用者だけでなく、介護者もみんなが幸せに過ごせるような、介護職員になりたいです。

介護福祉士養成施設とは?

 社会福祉士及び介護福祉士法に定められ、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した養成施設。高等学校や専門学校、大学があり、卒業後、介護福祉士の国家試験の受験資格が得られます。

 西日本短期大学は、専門的な知識や確かな技術はもちろん、その人の気持ちに寄り添った関わりができる介護福祉士の養成を目指しています。

施設概要

学校法人西日本短期大学
〒810-0066
福岡市中央区福浜1-3-1
電話:092-721-1141
URL:https://www.nishitan.ac.jp