インタビュー

2025年3月26日 NEW

様々な疾患に対応できる理学療法士にキャリアアップ 患者さんだけでなく地域全体を支える仕事をしたい

私の介護の仕事 インタビュー動画

井上雄太(いのうえ・ゆうた)さん 理学療法士歴16年 =社会医療法人青洲会 百年橋リハビリテーション病院=


井上雄太(いのうえ・ゆうた)さん

【プロフィール】
平成21年に帝京大学福岡医療技術学部理学療法学科を卒業し、理学療法士の資格を取得。整形外科クリニックに10年間勤務し、外来、入院、通所のリハビリテーションの経験を積む。その後脳神経のクリニックに1年間勤務。平成31年に堤病院(現・社会医療法人青洲会百年橋リハビリテーション病院)に入職。令和6年度よりリハビリテーション課主任、兼、通所リハビリテーション所長。

【保有資格】
理学療法士、介護予防推進リーダー、地域ケア会議推進リーダー、フレイル対策推進マネジャー


【キャリア】

3年目 サブリーダー
4年目 リーダー
5年目 リハビリテーション課副主任
6年目 リハビリテーション課主任、
通所リハビリテーション所長

【スケジュール】
8時 出社
8時30分 朝礼
9時15分 通所リハビリテーション開始
12時 休憩
13時 通所リハビリテーション開始
16時30分 カルテ記入など個人作業
17時10分 終礼
17時30分 退社

幅広く対応できる理学療法士になるため 病院の通所リハビリへキャリアアップ

 高校生の頃に祖父が入院し、リハビリテーションに懸命に励む姿と、それによって体の状態も少しずつ回復していく過程を見たことが、理学療法士を目指したきっかけです。もともと「何か特殊なことができる仕事に就きたい」という想いがあったのと、体の仕組みにも興味があったので、まさにぴったりの仕事でした。

 大学で理学療法を学んで資格を習得し、卒業後10年間は、整形外科のクリニックに勤務しました。学生時代は疾患の知識などに興味を持っていましたが、技術や患者とのコミュニケーションの仕方など、働きだしてからの方が勉強することが多いなと感じました。

 体が不自由な方の中には、整形外科系の疾患だけでなく、脳梗塞や脳出血の後遺症なども多くいらっしゃいます。そうした疾患の方も幅広く対応できる理学療法士になりたいと考え、脳神経外科のクリニックに転職。その後、堤病院(現・社会医療法人青洲会百年橋リハビリテーション病院)に入職し、現在に至ります。

 当院の患者は、整形外科系や内科、呼吸器など多岐に渡り、複数の疾患をお持ちの方も多いです。また、パーキンソン病や脊髄小脳変性症などの難病の方もいらっしゃいます。通所リハビリテーションでは、患者の生活スタイルに合わせてリハビリテーションを提供します。自宅でどのように過ごしているか、何に興味を持たれているかなどをよく観察し、アプローチしていきます。患者が、やりたいことができるようになって生活の幅が広がったり、なりたい姿に近づけたりしたときに、とてもやりがいを感じます。

  ある患者は、体が不自由になったことをきっかけに、習い事の三味線を長く休んでおられましたが、再開したいと目標を立てられたので、私も三味線教室に同行し、必要な動きをスムーズにできるようにリハビリのメニューを追加しました。リハビリを懸命に励むことで、三味線を演奏できるようになったときには、私もとても嬉しく思いました。

患者の健康を支えるために連携が重要 介護保険を学んでリーダーシップを発揮

 私の担当する通所リハビリテーションは、利用者が介護保険をつかって利用するもので、利用者は、当院での通所リハビリテーションの他にも、介護保険を使ってサービスを受けていることが多いです。介護保険で受けられるサービスには限度があるので、限度の中で最大限、利用者にとって良いサービスを提供するために、他の事業所と連携を取る必要があります。また現在は、様々な医療や介護のサービスが密に連携して1人の患者を支えることが求められていますし、重要だと感じます。そのために、私も今の仕事を始めてから、介護保険制度や介護報酬の制度について勉強しました。
 たとえば昨年の介護報酬改定でも、通所リハビリを受ける患者について、他の専門職種と連携して栄養状態や口の中の状態なども定期的に確認することで、利用者の健康を保っていこうという内容の改定がありました。利用者のためになることなので、多くの方に適用できるように、ケアマネジャーなどや関連する事業所に積極的に呼びかけて、時には制度について解説しました。
  当院全体でも、連携の中心となってみんなを引っ張っていけるよう、通所リハビリテーション課で介護保険の勉強会も始めました。理学療法士としてこれから介護の世界に進まれる方にも、ぜひ介護保険の勉強をおすすめしたいです。
 また、これから外部のケアマネジャーやデイサービス事業所との関係を強くして、密に情報交換できる関係をつくり、独居高齢者への介入も積極的にしていきたいです。福岡は独居高齢者が多いので、元気なうちから、病気や介護を予防するための仕組みをつくっていくのが、今の目標です。
 

ワークライフバランスもキャリアアップも どちらも実現できる環境が揃っている

 介護・医療の職場は今、ワークライフバランスをとてもとりやすくなっていると思います。当院では男性の育児休業取得も進んでいて、私も、昨年4月に子どもが生まれ、育児休業を2か月以上とりました。リハビリテーションの主任になったばかりのタイミングでしたが、管理職でも問題なく取得することができました。
 キャリアアップの支援も充実しています。当院では定期的に上司との面談があり、常に5年先のキャリアを見据えて、共有しています。各病院や施設で、技術や知識を高めるための研修や勉強会が工夫されていますし、理学療法協会などの専門職種の協会などでも研修が充実しています。そのためライフイベントなどでしばらく介護の仕事から離れても、戻りやすい環境が整っている業界だと思います。
 処遇改善や業務の効率化も日々進化している業界です。興味のある方はぜひ挑戦してみてほしいです。
 

通所リハビリテーションとは?

施設(介護老人保健施設、病院、診療所など)に通い、可能な限り自宅で自立した生活を送ることができるよう、入浴や食事などの日常生活の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する介護保険サービスです。
 
 百年橋リハビリテーション病院のリハビリテーション部では、早期回復を目指して365日リハビリテーションを実施し、予防から回復期、在宅生活まで、切れ目のない支援を行っています。
 

施設概要

社会医療法人青洲会 百年橋リハビリテーション病院
〒810-0005
福岡市中央区清川3-17-11
電話:092-534-0177
URL:https://h.seisyukai.jp