インタビュー

2025年3月26日 NEW

ノーマライゼーションの考え方に魅せられ、入居者一人ひとりと向き合う介護を実践

私の介護の仕事

山口正信(やまぐち・まさのぶ)さん 介護職歴17年 =社会福祉法人東翔会 グループホームふぁみりえ= 


山口正信(やまぐち・まさのぶ)さん

【プロフィール】
福岡県出身。高校の福祉科で訪問介護員2級を取得。平成19年に福岡YMCA国際ホテル・福祉専門学校七隈校を卒業。社会福祉法人東翔会に入職し、小規模多機能ホーム「みえあむ」に配属。平成28年に同法人の「グループホームふぁみりえ」に異動。
 
【保有資格】
介護福祉士

【スケジュール】

8時30分 出社、情報収集、入居者への挨拶
9時

個別ケア

10時 寄り合い、体操、水分補給介助
11時

家事支援、昼食準備

12時

昼食介助

13時

休憩

14時

アクティビティ(家事や運動、制作などの活動)

15時

おやつ介助

17時

家事支援、夕食介助

17時30分

退勤

祖父の「ありがとう」の一言から始まった福祉の道

 高齢者の福祉に興味を持ったきっかけは、小学校6年生のときに祖父が入院したことです。お見舞いに病院に行ったときに、いつもは厳しい祖父から「ありがとう」と声をかけてもらったことが印象に残っています。介護の仕事をやってみようと、福祉科のある高校を選択し、在学中に訪問介護員2級を取得しました。さらに介護福祉士の資格が取得できる専門学校に進みました。学校では、同じ志を持つ友人と学ぶことで、介護という仕事のモチベーションを高めていきました。

「ノーマライゼーション」の考え方に惹かれる

 社会福祉法人東翔会への入職は、理念にある「ノーマライゼーション」の考え方に惹かれたためです。「ノーマライゼーション」とは、デンマーク発祥の福祉の考え方で、当法人ではこの考え方を元に、「年老いても、障がいがあっても、認知症でも、誰もが安心して暮らせる支援と社会の実現を軸に、入居者を一人の人間として接すること」を指針としています。自分が目指したい介護はこれだと考えました。
 現在はグループホームふぁみりえを担当しています。「ふぁみりえ」とはデンマーク語で「家族」という意味で、認知症の高齢者を対象とした施設です。60~90代で要介護度の平均が3.5の方が入居しています。
 社会福祉法人東翔会では「ユーモアとファンタジー」を軸に、利用者の希望をできるだけ叶えたいと考えています。印象に残っている入居者に、80代の女性で「人の役に立ちたい」という希望を持っている方がいました。その願いを叶えるためにどうすれば良いかを考え、その方の名前を付けたカレー屋さんを企画し、職員や地域の方にカレーをふるまうことにしました。女性には店長として、入り口付近に座って頂き、お客さんに挨拶をしていただくようにしました。その方の満足そうな表情が印象に残っています。その経験から、一人一人の願いや希望を実現することが生活の質を上げることにつながり、今も活かされています。
 認知症のケアでは、入居者と向き合うことを大切にしています。ある方が認知症の症状で、寂しさや焦燥感を強く感じ、気持ちが不安定になっていることがありました。その際、アセスメントツールを活用し、入居者の様子を観察し、気持ちに寄り添うことで、家族と会えない寂しさを抱えていることが分かりました。職員全員で、その方との関わり方を見直すことで、不安感の解消につながり、穏やかな様子で過ごされるようになりました。
 入居者への質の高いケアのために、職員間で情報や考えを共有できる場が必要と考え、毎日3分間のミーティングを行うことを提案し、取り入れてもらいました。毎日の共有によって、職員が必要と考えていることを日々の活動に取り入れられるようになり、迅速に対応することができるようになりました。忙しい中でも話し合うことを大切にしています。
 休日は月8~9日前後あります。私は花を見ることが好きなので、休みの日は季節ごとにひまわり園やばら園に行っています。施設内に畑がありますので、入居者と本格的な家庭菜園もやってみたいです。
 

地域の方たちにもっと「認知症」について知ってもらいたい

 当法人では毎年、福祉国家と言われているデンマークで研修があり、最先端の認知症ケアや支援を学ぶことができます。私も以前、デンマークでの研修を受け、高齢者施設を見学しました。職員と入居者が分け隔てなく接している姿を見て、とても勉強になりました。
 令和5年には、大牟田市が推進している認知症コーディネーター養成研修を受講しました。大牟田市の病院や施設から代表者が1人ずつ、合わせて10人が集い、2年間、認知症について専門的に勉強します。受講後は大牟田市が実施している物忘れ検診の担当をするなど、これまで以上に地域で活動する機会が増えています。地域住民の方に、認知症の正しい知識を発信し、認知症になっても落胆しなくて良いことを伝えていきたいです。
 介護を志している方の中には、様々な面で不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃると思います。介護はどちらかというと女性が多い職場なので、男性職員の私が入居者に受け入れてもらえるか心配でした。しかし、入居者の悩みを他人事だと思わず自分のことのように考えることで受け入れてもらえることができたと感じています。しっかりと向き合うことで入居者に思いが伝わると思います。
 

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは?

 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、地域密着型サービスのひとつで、認知症の高齢者が共同で生活する住居で入浴、食事などの介護や日常生活上のサポート、機能訓練を行います。少人数(5人~9人)の家庭的な雰囲気の中で生活することで認知症の症状の進行を遅らせ、できるだけ自立した生活を送ることを目指します。
 
 社会福祉法人東翔会は、医療法人東翔会とともに大牟田地域の医療および福祉の一翼を担っています。特別養護老人ホームやケアハウス、デイサービス、小規模多機能施設、グループホームを展開し、地域の方々の「暮らしやすい社会づくり」を目指しています。グループホーム ふぁみりえは、3ユニット27人が入居し、一人ひとりの生活リズムにあわせたケアを行っています。
 

施設概要

社会福祉法人東翔会 グループホームふぁみりえ
〒836-0091 
福岡県大牟田市沖田町492
電話:0944-43-1223
URL:https://www.sunfriends.net/untitled-c19t8