介護で出会う方々を通して 人としての生き方を教わっています
私の介護の仕事
福島正博(ふくしま・まさひろ)さん 介護職歴18年 ー 大野城市社会福祉協議会 ー
【プロフィール】
45歳で物流関係の仕事を辞め、介護福祉士養成の専門学校に入学。卒業後、デイサービス(通所介護)、グループホーム(認知症対応型生活共同介護)に勤務。平成18年にケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得。管理者等の経験を経て、平成21年から大野城市社会福祉協議会で、主に居宅サービスの訪問入浴介護に携わっている。
【保有資格】
介護福祉士(国家資格)、ケアマネジャー(介護支援専門員)
【 一日のスケジュール】
8時30分 | 出勤 朝礼、訪問の準備 |
---|---|
10時 | 訪問入浴(2件) |
12時15分 | 休憩 |
13時 | 訪問入浴(2件) |
17時 | 日報等のデスクワーク |
45歳で転身、同級生からは「お父さん」の愛称で呼ばれていました
父親の職業柄、私は転校を繰り返してきたので、「どうすれば、人と仲良くなれるのか」ということを幼いころからよく考えていました。人とのコミュニケーションに苦労した分、関心も深く、それが介護の仕事に就こうと思ったきっかけになったかもしれません。
ただ、私が大学を卒業した約40年前は、今のように介護が制度化されていなかったことから、一般企業に就職。物流の営業事務職に就き、物言わぬ商品を相手に仕事をしてきました。
転機になったのは、平成9年の介護保険法の成立です。当時45歳。結婚し、家族もいたのですが、思い続けた仕事に挑戦しようと覚悟を決め、介護福祉士の資格を取るために専門学校に入学しました。1クラス40人、同級生は10代から20代の若者ばかり。実習先では引率の先生に間違われ、同級生からは「お父さん」と呼ばれましたね。
百人に百通りの介護、杓子定規ではない点が介護の面白さ
今の職場では、主に訪問入浴介護を担当しています。訪問入浴は、介護職と看護師、入浴車を運転・操作するオペレーターの3人がチームを組み、要介護度の高い利用者の自宅を訪れ、入浴してもらうサービスです。介護職は着替えなどを手伝い、オペレーターが浴槽をベッドサイドに設置してお湯を張る間、看護師は利用者のバイタルをチェック。3者で役割分担し、利用者に負担がかからないよう、作業はスピーディーに行います。
久々の入浴で思わず鼻歌が出たり、「極楽、極楽~」と目を細める利用者の表情を見ると、本当にうれしく、それと同時に、やりがいも感じます。利用者が百人いれば、介護の方法も百通りです。人を相手にする仕事だけに、難しさもありますが、杓子定規にはいかない点が面白さにつながります。物言わぬ商品を相手にしていた頃より、今の方がずっと仕事を楽しめています。
人生経験を存分に生かし、70代での現役をめざす
介護の仕事をする上で、年齢は関係ありません。私は今、65歳です。利用者に年齢が近い分、信頼関係を築きやすいという利点もあります。高齢者から孫のようにかわいがられる「若さ」も良いのですが、年齢を重ねて人生経験を積んでこそ身に着けられる「会話力」や「コミュニケーション力」を存分に生かすことができます。
つまり、介護の仕事は体力や知力だけではなく、経験が生かせる仕事です。それだけではありません。例えば、要介護の夫を20年近く妻一人で支えてきたというご夫婦や、100歳を迎えてなお毅然としておられる方にお会いすると、その方たちの人生の機微に触れたように思える瞬間があります。とても表現し難いのですが、介護の仕事は、人としての生き方を教わることができる仕事でもある、と感じています。
訪問介護の現場では、70代の先輩方も活躍しています。私もそういった先輩方をめざし、長くこの仕事を続けたいと思っています。
居宅サービスとは?
介護保険制度では、施設サービスと居宅サービス、地域密着型サービス、介護予防サービス等があります。訪問入浴介護は、訪問系居宅サービスの1つ。給湯機能を備えた訪問入浴車が利用者宅に出向き、湯船などを部屋に運び込んで入浴サービスを提供します。
大野城市社会福祉協議会の介護サービス課では、居宅介護支援事業や訪問介護事業、訪問入浴事業等の介護保険事業のほか、障がい福祉サービスや、大野城市の受託事業として障がい児の一時預かり、赤ちゃんを対象にしたホームヘルプ事業等を行っています。
施設概要
大野城市社会福祉協議会
〒816-0934
大野城市曙町2丁目3-2
電話:092-589-5533