【訪問看護とは】
　看護師等が利用者の自宅を訪問して、主治医の指示のもと、看護（療養上の世話または診療の補助）を行います。医療機器を使用しながらでも、自宅で最期まで生活できるよう療養生活を支援します。
 
【理念】
　社会福祉法人猪位金福祉会は、高齢者・家族の自立支援や家族支援をはかり「寝たきりゼロ作戦」を支援することを基本理念のひとつに掲げています。訪問看護ステーションでは、自宅で療養生活を送っている方へ、それぞれの症状と生活にあわせた、きめ細やかなサービスを心掛けています。在宅生活を継続できるよう、医師の指示のもと医療処置を提供しています。
 
【施設・事業所の成り立ち】

平成9年8月	社会福祉法人猪位金福祉会設立
平成15年12月	訪問看護ステーション開設

　当訪問看護ステーションでは、特定行為看護師が常駐しており、医師の手順書があれば、看護師の判断で、よりタイムリーな医療的処置が可能です。非常時でも医師の到着を待つことなく処置を開始するので、利用者の身体的負担も軽くなります。

　また、利用者ごとに担当はつきますが、複数の職員がサービスに入るチーム制でケアしています。これは、1人の視点では、状態観察がマンネリ化する恐れがあるので、サービスのたびに異なる眼で観察し、少しの変化でも見逃さないようにするためです。法人内のケアマネジャーやヘルパー、デイサービス職員などと連携し、法人全体で情報共有を図っています。

　看護師の柳場絵美さんは病院と訪問看護の違いについて次のように話します。「病院では、発熱があったときは医師がすぐに対応できますが、訪問看護では、まず現場にいる看護師が、発熱の原因や医師が判断するために必要な情報を観察し、報告しなければいけません。状況を把握する力やアセスメント力が高まります。」

　訪問看護の働きがいについては「以前、末期がんの女性のサービスに入りました。ご本人と息子様の希望もあり、最期まで自宅で過ごせるようにケアを行いました。いよいよ最期をむかえる段階となり、死前期呼吸の状態になりました。死前期呼吸は、見ていると非常につらいように見えますが、ご本人は、もう意識がなく感覚自体がない状態で苦しさはありません。息子様にもその状況を説明しましたが、『母がきつそうにしているので、何か対応できませんか』と相談を受けました。息子様の希望を医師に相談すると、医師は酸素吸入を開始し、少し楽そうになりました。その後、女性は亡くなられ、息子様から『看護師さんがいてくれて良かった。ありがとう』と言葉をかけてくれ満足そうでした。通夜のときも、息子さんの顔はすがすがしく、心残りのない顔をされていました。ご本人やご家族にとって満足のいくケアができた最期に立ち会えて、この仕事をしていてよかったと感じました」と話してくれました。

　訪問看護の仕事は、最新の医療機器などを使うことは少ないですが、人間性を高め、人との接し方やアセスメント力が身につきます。私が病院に勤務していた時は、もっと患者さんと向き合いたいと思っていました。一人ひとりの利用者とじっくりと向きあうことができるのも訪問看護の良さだと思います。訪問看護には、病院とは全く違う魅力がありますので、少しでも関心がある人は、思い切って飛び込んでほしいですね。（柳場さん）